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​【エピローグ】

​~大神官サモ~

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#888

里での治療を終えた後、私は長のもとへと報告に行った

「我々が神と崇めていたイヴェルカーナを、この手にかけました」

「古龍は大自然の力の具現にして一端

 おそらく、これで終わりではなかろう」

「古龍はいつか再び姿を現すだろう

 お前たちが抗う道を選ぶとしたら、戦い続けねばなるまいて」

「しかし今はお前たちが打ち勝ったのじゃ

 一族の代表として、里への脅威を取り去った事を誇りに思え」

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#889

イヴェルカーナが打ち破られた件は人里にも知られる事となり

凍て地には調査団の手が入った

調査団の面々は戦いの中でベルモートが命を落としたことを知り

偉大なる狩人が失われた悲しみを悔やまずにはいられなかった

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#890

セリエナへ足を運んだ私はベルモートの宿舎へと立ち寄った

彼が死んでしまった今、この館へ訪れる者もいない

彼は意志を持ってこの地に来ていたはずだった

志半ばで果てた事はさぞ無念だった事だろう

私が引き継げるものであれば....

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#891

彼と交わした約束があったことを思い起こしていた

故郷にいる妻ファンディに愛していると伝えてくれとの事だったな...

彼の故郷....

故郷の村.....

ええと........

村の名前はなんだったか?

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#892

外に出て冷え切った空気を吸い込む

ベルモート

キーン

仇は討ったよ....

父様

母様

私はどうやら、皆を守ることができたようです

 

終わったんだ.......

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#893

キーン亡き後、アッパーは里の狩人頭となった

私との狩りの旅は、彼を狩人としてだけでなく

その人格も大きく成長させていた

荒くれアッパーは今はなく、里の皆の信頼を得て

これまでの旅で得た力と技術で一族に更なる力をもたらすだろう

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#894

サモはその後も里で神官を続けたが

時々は人里へ出向き、狩りへと繰り出した

狩人として活動する際には神衣を脱ぎ

人間の狩人として"ゼヴァン"と名乗っていた

しかし、彼女の神官としての経緯はギルドでも有名であり

彼女の"サモ"としての名も広く知られるところとなっていた

そして、彼女の傍らにはいつもアッパーがいたという

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#895

ある日サモは夢を見た

薄暗い闇の中でイヴェルカーナが静かに語りかけてくる

『神官の身でありながら神を手にかけたお前に災いあれ』

『我が呪いは来世にまで渡りお前を蝕むだろう』

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#896

『お前はその生涯において子孫を残す事は叶わぬだろう』

『あらゆる龍がお前と仲間を襲うだろう』

『生まれ変わっても、お前は人に生まれる事は叶わぬだろう』

そう言って、イヴェルカーナは静かに消えていった

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#897

サモの狩人としての生涯の中で、幾度か恋人をもつ事もあった

しかしそのいずれも連れ合いになるには至らず

子を得ることもなく

その人生の最後まで、伴侶を得る事はなかった

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#898

サモは57歳の時、病でこの世を去るまで

神官として、狩人としての人生を全うした

彼女の働きによって獣人と人間との関わりは深く良好なものとなり

 

人々は彼女を讃え、"大神官サモ"と呼んだ

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#899

「それで、ポッケ村ってのはどうだったんだ?」

「いい村だったよ。ベルモートの奥さんとも会えた」

「結局ベルモートの目的って何だったんだろうな」

「なぁアッパー」

「なんだ?」

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#900

「ポッケ村の氷の神って奴を倒したいんだが、一緒に行かないか?」

「また神か!!お前神官なんだろ!?」

「思うんだが、人々に狼を働く神を抑え込むのは

 神官である私の仕事だと思うんだ」

「まぁ、それはそうかもな。で、なんて神なんだ?」

 

「ウカムルバスだ」

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~ご愛読ありがとうございました~

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