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​【第六章】これが古龍だ

~嵐の神~

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#485

龍結晶の地__

 

あまり情報を仕入れる暇もなかったが

その凄まじい環境からは、ヒトの力では

およそ及びつかぬような力の脈動を感じる

ここにイヴェルカーナが現れたと言っていたな

しかしそれからもう一ヶ月は経っているが...

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#486

この地で、青い星ベルモートが強大な力を持つ古龍と

壮絶な戦いを繰り広げたという話を聞いたことがある

考えるだけで身震いするようだ

とても私の想像の及ぶような戦いではなかっただろう

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#487

この地で待つとの伝言だったが、そういえば彼はどこにいるのだろう?

あてもなく探していても仕方ないが

ひとまず私はひときわ目を引く

巨大な柱が集まる場所へ行ってみる事にした

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#488

辺り一面、あちこちに巨大な柱が走っている

これは.氷のようでいてそうでないような..

凍て地でも似たような場所を目にしたことがある

神域として踏み入るのを禁じられていたので遠目でしか見た事はないが..

もしかしたらここはイヴェルカーナに関りが深い場所なのかもしれない

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#489

近付いてよく見るとそれは氷よりも岩に近いような肌触りで

触るとひやっとするものの、凍てつくような感触ではなかった

辺りの地面は黒々とした地肌もあるようだが..

不思議だ

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#490

氷のように滑らないので、大きなものは登ることもできた

天井から下がるつららのような大きな柱を眺めていると

不意に下の方から声をかけられた

声の主はベルモートだ

こっちを呼んでいる

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#491

「ベルモート。文は受け取った。何の用事だったんだ?」

「数日前から厄介な奴が現れてな。あんたの力を借りたい」

「.....イヴェルカーナか?」

「いや、奴はこの地を去った」

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#492

「イヴェルカーナとは少しだけ刃を交えたが、かなりの強さだった」

「神と...戦ったのか」

「神だって?...そうか、あんたは古龍信仰の徒なのか」

「信仰だなんて、そんなものでは...」

「だったらついて来てくれ。ここでありのままを見るといい」

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#493

促されるままに私は彼の後をついていく

彼が助力をあおぐほどの獣...

とてつもなく強力な獣なのは間違いない

しかし彼についていけばもしかすると

知るべき事を知る事ができるかもしれない

その思いが私を突き動かしていた

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#494

高台を登ると向こうに頑強な獣が鎮座していた

私はそれを、ハッキリとこの目で見た事がある

あれは獣ではない

かつて凍て地に君臨していた神だ!!!

凍て地の頂に脱ぎ捨てられた神の鎧

それが今、そのままの姿で目の前にいる

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#495

お..恐ろしい

恐ろしい....

口伝にて伝えられる嵐の神

私は身を屈め、岩陰で震えていた

神がこちらを見ている...

 

無理だ..逆らえない..

神の怒りに触れれば部族のみんなが滅ぼされてしまう...

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#496

ベルモートは私の動揺を見て、踏み込むのを躊躇っていた

どうするべきか決めかねているところにアッパーが前に出て

神の頭をめがけて殴り掛かった

サモ、ビビってんじゃねぇ!!

 こいつはオレ達の神じゃない!!気合入れろ!!

 

神は辺りを引き裂かんばかりの怒声を上げた

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#497

「こいつは鋼龍クシャルダオラ!!風を操る古龍だ!!」

「そういうことは挑む前に言ってくれ!!」

悪態をつきながらも、私はもはや開き直るしかなかった

"オレ達の神じゃない"

 

今はもう、その言葉を信じるしかない

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#498

私の力が神に通用するのだろうか...

しなければただ死ぬだけだっ!!

次々と襲い来る葛藤を狩人の本能の言葉でねじ伏せる

不安をかき消すように、ただひたすらに鎚を持つ手に力を込めた

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#499

戸惑いが残る緩慢な私の動きを

クシャルダオラの剛腕が激しく跳ね飛ばす

吹っ飛ばされた私は、その一撃で目が覚めるような思いに至った

痛い

強烈な殴打だ

しかし...これまでの獣たちと.....

なんら、変わりない

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#500

ベルモートがクシャルダオラの頭に張り付いた

「サモ、よく見ていろ!!

古龍が相手でも動きを封じるすべはある!!」

ベルモートは奴の首元めがけスリンガーの弾丸を斉射した

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#501

クシャルダオラは勢いよく壁に叩きつけられて転倒した

その瞬間、私の中で何かがはじけ、全てのモヤがかき消された

「おおおおおおおおおおお!!!!!!」

私は知らず知らず、体の底から湧き上がるような雄たけびを上げていた

やるんだっ!!!!!!

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#502

倒れている奴の頭部めがけ、二人で怒涛の追撃を入れる

"鋼"を冠するだけあって、その身の硬さは尋常ではない

しかしこの猛撃、如何なる者であっても凌げるはずもないっ!

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#503

起き上がった奴が突然視界から消え、私たちの武器は空を切った

背後から大きな風切り音がする

この一瞬で後方に飛び退いたのか..?

速い...

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#504

奴が飛び上がり、何かを吐き出した

途端にあたりに強烈な烈風が舞う

風を吐くのか..

軌道は火竜のそれと似ている

直前に吸い込む挙動を取るようだ

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#505

着地した奴の懐めがけ突撃する

よく見ると奴のまわりに風がなびいている

風を纏っているのか...?

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#506

横振りの一撃を顔面に叩き込む

わずかに怯むを見せたようにも見えたが、体は微動だにもしない

その瞬間、奴の纏っている風がひときわ強くなったように感じた

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#507

風圧に体が押し負けそうになる

ベルモートが飛び込んできて奴の顔面に一撃を加えた

一瞬風圧が消え、体を押しとどめる

「奴が風を纏っている時は不用意に近づくな!

 風圧で倒されるぞ!」

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#508

これまでの獣たちとはまるで生態が違う

風を纏うなど、どうやっているのか分からないが

軸の強い回転撃であれば風圧にも負けないはずだ

私は勢いをつけ、横薙ぎの回転撃で奴を強襲した

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#509

一撃当たった所で強烈な風圧を受け、姿勢を崩されてしまった

「不用意に近づくなと言ったろう!話を聞いてたのか!!」

奴が吐息を吸い込む動作が見える

まずいっ

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#510

直後に奴の放った烈風の吐息の直撃を受けてしまった

何という衝撃

体がバラバラに引き裂かれそうなほどの圧で私達は吹っ飛ばされた

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#511

すぐに姿勢を立て直し鎚を構える

奴はその場で勢いよく羽ばたきを始めた

何かをしようとしている

奴はその場で回転しつつ纏っている風ごと勢いよく上昇した

立ち上る豪風とともに辺りの土が巻き上げられる

そこには激しい嵐の柱が渦巻いていた

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#512

嵐の柱の風勢は凄まじく、近付くだけで体を持っていかれるのは明らかだ

柱に気を取られていたところに

いつの間にか側面に回り込んでいた奴が発した風の吐息が襲ってきた

かろうじて身をかわすが、奴の行動は迅速でいて隙が無い

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#513

動きを止めさえすれば..

私は隙を見て持っていた痺れ罠を仕掛けようとした

「サモ、無駄だ!奴に痺れ罠は効かない!!」

ベルモートが叫んだ

痺れ罠が効かない...?

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#514

「そんな..落とし穴も効かないのか?」

「効かない!!」

「閃光弾もか?」

「効かな...効く!!」

罠がことごとく効かないなど、やはり神の力としか言いようがない...

........いま、閃光弾は効くと言ったか?

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#515

すぐさま閃光弾をスリンガーに装着し発射した

奴の顔の傍で激しい光がまばゆく発する

うまく視界を奪えたようだ

奴はこちらの動きを捉えられずにいる

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#516

やみくもに飛び回る奴の動きは留まるどころか激しさを増した

これでは動きを封じたとはいえない

空中への攻撃手段は...

咄嗟にリオレウスとの戦いを思い起こし

私は奴の体にフックを飛ばした

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#517

空中へと飛びあがった私は奴の体を越え

上空から奴の翼めがけ、思い切り鎚を振り下ろした

奴の体に纏われた強風が私の鎚をはじき返すように吹き荒れる

浅いっ!!

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#518

鎚の一撃は当たりはしたものの強風に阻まれ

奴を叩き落とすには至らなかった

打撃で私の行動を察したのか、奴は翼を大きく羽ばたかせ

勢いよく私を弾き飛ばした

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#519

このように飛び回られては強風の力もあり手の打ちようがない

攻めあぐねいていると、ベルモートが

高台から奴に斬りかかっているのが見えた

 

「サモ、地形を利用しろ!!高低差を使え!!」

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#520

なるほど、確かにこれならば奴と同じ高さまで迫れる

環境全てを武器とする

これもそういう考え方の一つかもしれない

私は高台へ上り、ベルモートの動きに合わせて奴に飛び掛かった

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#521

二人での同時攻撃でも奴を叩き落すには至らない

着地した折、ベルモートの姿がなかった

上を見ると、ベルモートは奴の頭部にしがみついて大斧を構えている

「落 ち ろぉぉぉぉっ!!!!!」

ベルモートの怒号と共に、

金属が激しく砕けるような轟音が谷間に反響した

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#522

奴の鋼の巨体が上空から落下してくる

轟音と共に地響きを伴って地面に叩きつけられた奴は

何が起きたか分からないような表情で朦朧としていた

ベルモートは高所からの着地で受け身が取れず、その場に倒れ込んだ

「サモ!!奴を頼む!!」

彼が決死で作ったこの機を逃すわけにはいかない

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#523

全身全霊、渾身怒涛の連撃を休む間もなく叩き込む

奴の頭部にはベルモートが付けた斬撃の傷跡が

くっきりと刻まれている

そこに更なる痛撃を加え、頭部の破損を助長する

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#524

体勢を立て直したベルモートも追撃に加わる

嵐のような斬打連撃によって

鋼に覆われた奴の外殻が徐々に歪み、削られ、砕けていく

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#525

アッパーが高らかに笛を鳴り響かせた

笛の音に応えるように筋に力がっていくのを感じる

私たちは狂力を宿した剛腕に全ての力を込めて

起き上がろうとしている奴の頭部を打ち砕いた

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#526

これだけの猛襲に、もはや起き上がるのもままならないはずだ

そう確信している私の前でクシャルダオラは大きく翼を広げ

私達の闘志を圧倒するかのような巨大な咆哮を発した

意表を突かれ、気が大きくなっていた私の自信は

一瞬でかき消されてしまった

なんという頑強さ....底知れない猛然たる生命のりだ...

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#527

襲い来る奴の反撃に備え身構える

..が、奴はそのまま飛び去って行った

 

「..回復を済ませたらすぐに追うぞ。

 場所が変われば戦い方も変わる事を肝に銘じてくれ」

 

私達はひと呼吸つき、回復薬を飲み傷を癒した

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#528

崖下の広場で奴はこちらを待ち構えている

「あそこで戦うのなら高台は無い。

 坂道とわずかな段差を活かすしかないだろう」

「この十分な広さを活かして散開すれば注意を分散できるんじゃないか?」

 

「いい作戦だな。それでいこう」

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#529

崖を降りると奴は猛然と坂道を駆け上がってきた

その目は殺意で溢れており

待っていたと言わんばかりの勢いで私に突っ込んできた

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#530

奴が突っ込んで来るのは分かっていたが

あまりの勢いの凄まじさに反応が間に合わず

辛うじてその牙を逃れたものの

奴の頬骨に激突し、押し倒されてしまった

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#531

奴は倒れた私に更にみつこうと牙をむく

咄嗟にアッパーが後ろから私を蹴り飛ばした

「ボサッとするな!!避けるんだよ!!」

アッパーの怒号をよそに

ベルモートが奴の口元に斬りかかり注意を逸らす

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#532

ベルモートが奴と斬り結んでいる間に体勢を立て直す

その後ろでアッパーが笛を吹き鳴らした

「なんの効果だ?」

「意識を強く持てる音色だ。気絶を防げる」

確かに、奴の暴風に巻かれていると意識を持っていかれそうになる

奴がベルモートに気を取られている間に奇襲をかけよう

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#533

死角から忍び寄り、鎚を打ち上げる

当たった..が

足先に少し当たった程度では大した痛手にはならない

奴がギロリとこちらを

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#534

奴の巨体が突然降り立った

私を圧し潰すつもりか?..いや

攻撃する動きじゃない..?

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#535

奴は私に目もくれず突然走り出した

よく見るとベルモートが奴の頭に張り付いている

 

ベルモートを振り落とそうとしているのだ

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#536

「サモーーっ!倒すぞ!構えろ!!」

ベルモートは合図を送ると、スリンガーを斉射した

突撃の勢いもそのままに、更に助走が付いたクシャルダオラは

勢いよく柱に叩きつけられて転倒した

あの状況でよくぞそんな動きを..

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#537

追撃を入れるべくすぐに駆け付けるも初動が遅く

奴はもう起き上がろうとしていた

これでは一撃しか間に合わない

連撃は諦めて一撃に気合を込める

顎元に激しく当たり、鈍い音が響く

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#538

奴が突風をまき上げながら飛び上がる

また風を纏いだしてしまった

これでは近づけない..

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#539

どうやって攻撃の機を作る..?

ベルモートに目線を送る

「当初の予定通りだ。俺が奴を低所に誘う」

私はくと、坂道を登って彼と逆方向についた

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#540

坂下で待ち構えるベルモートに奴が襲い掛かった

奴はこちらに背を向けている

 

私は奴の注意を引かないようゆっくりと鎚を構え

必殺の一撃を見舞うべく、呼吸を整え力を溜め始めた

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#541

クシャルダオラは向こうに完全に気を取られている

私は溜めた力を増大させつつ坂道を滑り降り

鎚の重さと勢いを利用し、回転撃で奴を強襲した

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#542

背後からの一撃

手ごたえは十分にあった

弱点とは言い難い場所だが、意識の外からの痛撃に

奴の体は衝撃でよろめいた

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#543

決定打をなかなか生み出せぬも

私達は連携を重視し、少しづつ奴の体力を奪っていた

そうして幾ばくかが経ち、急に奴が上昇を始めた

これまでにないほど高々度まで...

何かの技か....?

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#544

奴はそのまま高台の方に移動を始めた

その飛び方は力なく、ふらついているようにも見える

弱っているのだ

 

「奴はねぐらまで行ったはずだ。あの山の上まで追うぞ」

あの山?あの...高いやつを...今から登るのか?

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#545

「急げ!見失うぞ!」

ベルモートはフックを使って崖を器用に登っていく

なるほど..

他の狩人の動きを直に見る機会はこれまでなかったが

こういった移動の方法もあるのか

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#546

崖を登り切った時、眼前にそびえたつ巨山を目にし

圧倒されるような気持ちになる

戦闘中はそれどころではなかったが

改めて見ると、とてつもない岩山だ...

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#547

道なりに進んでいくと目の前に切り立った崖が見えた

あそこを登り切るのは少々骨が折れそうだ..

そう思っていると、ベルモートは何やら上の方に見える

輝く虫のようなものにフックを飛ばした

飛ぶように一気に崖を越えていく

あの虫は時々目にするが、摑まることができるのか..

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#548

彼に倣って私もフックを飛ばす

勢いよく跳ね上げられた体はそのまま一気に崖の上まで運ばれていった

青い導虫がひときわ輝く

この向こうに奴がいるに違いない

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#549

いる

これまでの獣と同じように 弱った体を癒すため

奴は高台の上で眠りに就いていた

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#550

「俺達人間ではこの高さまでは上がってこれないと踏んだんだろう。

 翼持つ者の驕りだ」

ベルモートは私に目で合図を送る

私は黙ってき、静かに武器を構えた

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#551

掛け声を秘しながらもその両腕に込められた殺意は

の気迫を示し、高台を揺るがすほどの斬打を放った

さしもの奴も、首が吹き飛ぶほどの衝撃を受けて

その巨体がひるがえる

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#552

本当に..神を倒せるかもしれない

私は追撃の手を更に強め

悶え苦しむ奴の息の根を止めるべく

砕身粉骨の意志で猛攻を続けた

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#553

突如として吹き荒れた突風に私は吹っ飛ばされる

奴が視界から消えた

まだ奴の獰猛な闘志は死んでいないっ

油断してはだめだ!!

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#554

瀕死の身でありながら、奴の動きには更なるキレが見られる

「サモ!!連携を意識しろ!!

 奴の意識の外から攻撃するんだ!!」

ベルモートは反対側から奴を攻め立てている

そうだ..位置関係に気を付けて立ち回らねば

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#555

奴はこちらの狙いを察しているような様子で

私たち二人の動きに注意を払っている

 

強襲しようとしたベルモートを奴が抑え込んだ

 

なかなか隙を突けない

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#556

ベルモートを跳ね飛ばした奴はすぐさまこちらに意識を向ける

向こうの反応の方が早いっ

反撃が来る.....いや

 

捨て身の覚悟で合わせるしかないっ!!!

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#557

振り向きざまの顔面を思い切り殴り飛ばす

一瞬、奴の動きが固まった

その一瞬を逃すまいとベルモートが側面から斬りかかる

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#558

ここにきての連撃で奴の動きにも鈍りが見えた

正念場だ

ここで一気に畳みかけるしかない

しかし私たちの疲弊も限界に来ており

私も鎚を持つ手が震え、足がもつれ始めていた

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#559

疲れを振り切る思いで全力で鎚を振り上げる

奴の顎元を狙った.......つもりだったが

気が付くとベルモートが私の鎚で跳ね飛ばされていた

「すまん、足が滑った!!」

「俺の事はいいから奴を仕留めろ!!」

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#560

奴の呼吸が乱れ、動きが止まっている

このまま..頭部を揺さぶるように.....

 

一撃を....入れるっ!!!!

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#561

すかさずベルモートが私の打撃に斬撃を重ねる

両方向からの攻撃に挟まれ

奴の頭部から砕け散るような音がした

奴は最後にわずかな痙攣を見せた後

ゆっくりと崩れ落ち、やがて動かなくなった

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#562

動かなくなったクシャルダオラを見つめながら

私は正直まだ恐ろしさが抜けていなかった

本当に倒してよかったのだろうか

「これが古龍だ。恐るべき力を持ってるが...ちゃんと倒せる相手だよ」

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